SQL Serverの仕組みとデータ保存の流れ|INSERTからSELECTまでの内部動作を理解する
「SQL Serverにデータを入れると、どこにどうやって保存されるの?」
これは初心者が最初に疑問を持つポイントです。
SQL Serverは単なる“データを置く箱”ではなく、メモリ・ディスク・トランザクションログが連携して動く高度な仕組みを持っています。
この記事では、INSERT文でデータが保存される流れ、SELECT文でデータが読み出される流れをやさしく整理します。
目次
SQL Serverの内部構造の全体像
データベースエンジンの役割
SQL Serverの中心となるのがデータベースエンジンです。
これは、アプリケーションから送られたSQL命令(INSERT・SELECTなど)を解析し、データの保存や検索を行う“頭脳”のような存在です。
ユーザーが直接データファイルに触れることはなく、すべての操作はこのエンジンを通じて行われます。
主な内部コンポーネント
SQL Serverは次のような主要要素で構成されています。
- ストレージ層: データやログを物理ディスク上に保存
- メモリ層(バッファプール): 最近使ったデータをキャッシュ
- トランザクションログ: 変更履歴を記録して障害時に復旧可能にする
これらが連携して、正確で高速なデータ処理を実現しています。
データ保存の流れ(INSERTの仕組み)
INSERT文が実行されたとき
ユーザーがINSERT文を実行すると、SQL Serverはまずその命令を解析し、データをどのテーブル・ページに書き込むかを判断します。
INSERT INTO Customers (Name, City) VALUES ('田中太郎', '東京');
このとき、データはすぐにディスクへ書き込まれるわけではありません。
まずメモリ上のバッファプールに書き込まれ、ページが「変更済み(ダーティページ)」としてマークされます。
トランザクションログへの書き込み
INSERT処理と同時に、変更内容の記録がトランザクションログに書き込まれます。
これは「いつ・誰が・どんなデータを変更したか」を残す履歴であり、障害発生時に復旧するための非常に重要な情報です。
-- トランザクションログの確認例
SELECT TOP 10 [Current LSN], [Transaction ID], Operation, Context
FROM fn_dblog(NULL, NULL);
ログへの書き込みが完了した時点で、INSERT処理は「コミット済み」となります。
実際のデータページへの書き込みは後から行われるため、速度を保ちながら安全性も確保できる仕組みになっています。
データページへの反映とチェックポイント
ダーティページは一定時間ごとにディスクへ書き戻されます。
この処理を行うのがチェックポイント(Checkpoint)です。
チェックポイントが発生すると、メモリ上の変更内容がディスクに反映され、データが永続化されます。
このように、INSERTの流れは「メモリ → ログ → ディスク」という順序で処理されます。
データ読み出しの流れ(SELECTの仕組み)
クエリ最適化と実行計画
SELECT文を実行すると、SQL Serverはまずクエリオプティマイザという仕組みで最適な実行方法を探します。
テーブルサイズ・インデックス構造・統計情報などをもとに、最も効率的な読み出し手順(実行計画)を自動的に生成します。
データページの読み込みとキャッシュ
データを読み取る際、SQL Serverはまずバッファプールに対象のデータページがあるかを確認します。
存在すればメモリ上から即座に返され(これをキャッシュヒットと呼びます)、存在しない場合はディスクから読み込みます(キャッシュミス)。
キャッシュヒット率が高いほどディスクI/Oが減り、パフォーマンスが向上します。
定期的にメモリ使用量を監視し、ヒット率(Buffer Cache Hit Ratio)を高く保つことが理想です。
キャッシュの更新と整合性
SELECT文で取得したデータが更新された場合、その変更はバッファ上で反映され、ログにも追記されます。
これにより、メモリとディスクの内容が常に同期するよう制御されています。
SQL Serverの整合性を守る仕組み
トランザクションとコミット・ロールバック
SQL Serverでは、データ操作をトランザクション単位で管理します。
複数の操作を1つの処理として扱い、すべてが成功したときだけコミットされ、途中でエラーが発生した場合はロールバックされます。
BEGIN TRANSACTION
INSERT INTO Orders VALUES (1, '商品A', 3000);
INSERT INTO Orders VALUES (2, '商品B', 2000);
COMMIT TRANSACTION;
この仕組みにより、データの整合性を常に保つことができます。
ACID特性の考え方
SQL Serverが信頼性を保てるのは、次のACID特性を満たしているためです。
- A(Atomicity/原子性): トランザクション内の処理はすべて成功するか、すべて取り消される
- C(Consistency/一貫性): データのルールや制約を常に守る
- I(Isolation/独立性): 他トランザクションの影響を受けずに実行される
- D(Durability/永続性): コミット後のデータは障害でも失われない
これらの原則によって、SQL Serverは業務システムなど高信頼が求められる環境でも安全に運用できます。
まとめと次のステップ
学んだ内容の整理
- INSERT時は「メモリ → ログ → ディスク」の順に保存される
- SELECT時はキャッシュを優先し、I/Oを最小化する
- トランザクションとACID特性により整合性を維持する
参考リンク

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