2026年1月23日金曜日

SQL Server トランザクション分離レベルの基礎と実務例|同時実行制御・ロック・整合性を理解する

トランザクション分離レベルの役割を理解しよう

SQL Serverで複数のユーザーが同時にデータを操作しても、一貫性を保つための仕組みがトランザクション分離レベル(Transaction Isolation Level)です。
分離レベルを理解することで、整合性とパフォーマンスのバランスを適切に取れるようになります。

目次

トランザクションと分離レベルの基礎概念

トランザクションとは、複数の処理を一つの単位として扱う仕組みです。
ACID特性(Atomicity/Consistency/Isolation/Durability)を満たすことで、途中失敗しても整合性を維持します。
分離レベルはその中の「Isolation(独立性)」を制御し、他のトランザクションとの干渉を防ぎます。

分離レベルの種類と特徴

SQL Serverがサポートする主な分離レベルは次の通りです。

レベル 特徴 防げる異常
READ UNCOMMITTED他のトランザクションの未確定データも読める(最速)なし
READ COMMITTEDコミット済みデータのみ参照(SQL Serverの既定値)ダーティリード防止
REPEATABLE READ読み取った行にロックを保持。再読込時も同一結果ダーティリード+非再現読取防止
SERIALIZABLE範囲ロックを取得し完全整合性を保証(性能低下)全異常防止
SNAPSHOT行バージョン管理により非ブロッキング読取を実現全異常防止

読み取り異常(Read Phenomena)の3分類

  • Dirty Read:未コミットデータを読み込む(READ UNCOMMITTEDで発生)
  • Non-Repeatable Read:再読込時に結果が変わる(READ COMMITTEDで発生)
  • Phantom Read:範囲検索で行の増減が生じる(REPEATABLE READで発生)

各分離レベルの具体例とSQL構文

-- 分離レベルの設定
SET TRANSACTION ISOLATION LEVEL READ COMMITTED;
BEGIN TRAN;
    SELECT * FROM dbo.Sales;
COMMIT TRAN;

分離レベルを変更すると、そのセッション内でのロック取得や読み取り挙動が変化します。
実験的に確認することで、システムの並行性設計を深く理解できます。

実務での設定と確認方法

-- 現在の分離レベル確認
DBCC USEROPTIONS;

-- データベース単位でスナップショットを有効化
ALTER DATABASE SalesDB SET READ_COMMITTED_SNAPSHOT ON;

READ_COMMITTED_SNAPSHOTを有効にすると、READ COMMITTEDが行バージョンベースで動作するため、読取ブロッキングを軽減できます。
同時実行トランザクションの状況を監視するには以下が有効です。

SELECT request_session_id, resource_type, resource_description, request_mode
FROM sys.dm_tran_locks;

分離レベル選定のポイントとパフォーマンス影響

  • 更新頻度が高いテーブルではREAD COMMITTEDまたはSNAPSHOTを推奨。
  • 参照中心システムではREAD UNCOMMITTEDでレポート性能を重視。
  • 金融・会計系などはSERIALIZABLEまたはREPEATABLE READで整合性優先。
  • バッチ処理ではトランザクション範囲を小さく保つことが鍵。

まとめ:整合性と性能のバランスを取る設計へ

トランザクション分離レベルは、整合性をどこまで保証し、どこまで同時実行性能を許容するかを決める設計要素です。
READ COMMITTEDを基準に、業務要件に応じて調整するのが現実的です。
SNAPSHOTやREAD_COMMITTED_SNAPSHOTを活用すれば、整合性を保ちながらもブロッキングを最小化できます。
システム要件に応じた適切なレベル選択と、継続的な監視・検証が安定稼働の鍵です。

参考リンク(公式ドキュメント)

SQL Server 解説用イメージ

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