トランザクション分離レベルの役割を理解しよう
SQL Serverで複数のユーザーが同時にデータを操作しても、一貫性を保つための仕組みがトランザクション分離レベル(Transaction Isolation Level)です。
分離レベルを理解することで、整合性とパフォーマンスのバランスを適切に取れるようになります。
目次
トランザクションと分離レベルの基礎概念
トランザクションとは、複数の処理を一つの単位として扱う仕組みです。
ACID特性(Atomicity/Consistency/Isolation/Durability)を満たすことで、途中失敗しても整合性を維持します。
分離レベルはその中の「Isolation(独立性)」を制御し、他のトランザクションとの干渉を防ぎます。
分離レベルの種類と特徴
SQL Serverがサポートする主な分離レベルは次の通りです。
| レベル | 特徴 | 防げる異常 |
|---|---|---|
| READ UNCOMMITTED | 他のトランザクションの未確定データも読める(最速) | なし |
| READ COMMITTED | コミット済みデータのみ参照(SQL Serverの既定値) | ダーティリード防止 |
| REPEATABLE READ | 読み取った行にロックを保持。再読込時も同一結果 | ダーティリード+非再現読取防止 |
| SERIALIZABLE | 範囲ロックを取得し完全整合性を保証(性能低下) | 全異常防止 |
| SNAPSHOT | 行バージョン管理により非ブロッキング読取を実現 | 全異常防止 |
読み取り異常(Read Phenomena)の3分類
- Dirty Read:未コミットデータを読み込む(READ UNCOMMITTEDで発生)
- Non-Repeatable Read:再読込時に結果が変わる(READ COMMITTEDで発生)
- Phantom Read:範囲検索で行の増減が生じる(REPEATABLE READで発生)
各分離レベルの具体例とSQL構文
-- 分離レベルの設定
SET TRANSACTION ISOLATION LEVEL READ COMMITTED;
BEGIN TRAN;
SELECT * FROM dbo.Sales;
COMMIT TRAN;
分離レベルを変更すると、そのセッション内でのロック取得や読み取り挙動が変化します。
実験的に確認することで、システムの並行性設計を深く理解できます。
実務での設定と確認方法
-- 現在の分離レベル確認
DBCC USEROPTIONS;
-- データベース単位でスナップショットを有効化
ALTER DATABASE SalesDB SET READ_COMMITTED_SNAPSHOT ON;
READ_COMMITTED_SNAPSHOTを有効にすると、READ COMMITTEDが行バージョンベースで動作するため、読取ブロッキングを軽減できます。
同時実行トランザクションの状況を監視するには以下が有効です。
SELECT request_session_id, resource_type, resource_description, request_mode
FROM sys.dm_tran_locks;
分離レベル選定のポイントとパフォーマンス影響
- 更新頻度が高いテーブルではREAD COMMITTEDまたはSNAPSHOTを推奨。
- 参照中心システムではREAD UNCOMMITTEDでレポート性能を重視。
- 金融・会計系などはSERIALIZABLEまたはREPEATABLE READで整合性優先。
- バッチ処理ではトランザクション範囲を小さく保つことが鍵。
まとめ:整合性と性能のバランスを取る設計へ
トランザクション分離レベルは、整合性をどこまで保証し、どこまで同時実行性能を許容するかを決める設計要素です。
READ COMMITTEDを基準に、業務要件に応じて調整するのが現実的です。
SNAPSHOTやREAD_COMMITTED_SNAPSHOTを活用すれば、整合性を保ちながらもブロッキングを最小化できます。
システム要件に応じた適切なレベル選択と、継続的な監視・検証が安定稼働の鍵です。
参考リンク(公式ドキュメント)

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